Nursing&Education&Technology

看護とインストラクショナル・デザインを中心に、備忘録として残すブログです

Nursing & Education & Technology

看護師が医療・看護・教育工学について語ります。

アンラーニングするからこそ、人は成長する

最近、キャリアやあるいは看護管理といった領域で聞くアンラーニング。
日本語だと学習棄却。
その意味は「学びほぐし」という絶妙な表現で訳されている。

 

 

棄却というと「捨て去る」というイメージが連想されるが、決してこれまでの経験や、知識などを捨て去るわけではない。
 
それらを一旦ほどき、別のフィールドで結び直す。
 
そのプロセスを重ねることで、人は結果的に成長する。
これまでのやり方・ルーティンを見直して、あらたな自分になろうとすることで、次のステップにジャンプすることができる。
また変化のスピードがより高まっている現代社会では、アンラーニングをしていかなければ、時代遅れとなりかねない。
 
本書はさまざまな論文を引用・参考にしながら書かれていながら、とてもわかりやすくまとめられている。
印象に残ったところをいくつか挙げていく。
 

自分の得意な形に逃げない

人間はどうしても特定のパターンができると、それに依存してしまう。
行動経済学的な観点から考えると、現状維持バイアスという見方もできるか。
 
つまりそれはアンラーニングを阻害する要因となる。
これまでの成果は脇に置いて、新たにチャレンジしていくことが大切となる。

アンラーニングのプロセス

アンラーニングの「目標・内省モデル」によると、目標を志向するパターンに学習志向と業績志向がある。
 
学習志向は、学びを重視するタイプ。
業績志向は結果を通じて他社からの承認を重視するタイプ。
 
どちらのタイプがアンラーニングに繋がりやすいだろうか。
言うまでもなく、学習志向タイプである。
学習志向タイプは学習するプロセスそのものを重視しており、内省→批判的内省に展開されやすく、結果的にアンラーニングが生じる可能性も高いといえるそうだ。

ワーク・エンゲージメント

アンラーニングの内省・働きがいモデルというものも存在している。
これは内省→批判的思考→アンラーニング→ワーク・エンゲージメントと展開されていく。
ワーク・エンゲージメントとは、「自分、今ノってる!」と思いながら働けている状態を指す(あくまで僕の個人的な解釈です)。
 
アンラーニングしていくことは、結果的に自分の仕事を創意工夫したり、また仕事において成長を感じられたりすることで、活き活きと働くことに繋がる。
アンラーニングは好循環を生む。

どうすればアンラーニングを起こせる?

内省→批判的思考というプロセスが大切である。
ここでいう批判的内省とは、根本的な問いに対して、自分なりの言葉で表現することと解釈している。
例えば…といいたいところだが、それが出てこない。
…とにかく、それだけそう簡単には起こらないことらしい。
大切なことは、日頃から内省することで、批判的内省が起こる可能性を高めてくれるとのこと。
例えば日記を書くとか、5分だけでも内省する時間を確保するとか、そういったちょっとした内省が批判的内省の土台となる。

あのイチロー選手もアンラーニングをしていた

この本を読んで思い出したのは、イチロー選手のバッティングフォームに対する考え方である。
 
このエピソードを聞いた当時は、なんとなくわかる気がしても、今ひとつ腑に落ちなかった。
イチロー選手並みの選手であれば、研究もされるだろうし、その対策の一つくらいに考えていた。
もしかしたらそれもあるのかもしれないが、もっと深い意味があったんだと思う。
つまり、イチロー選手は意図的に毎シーズン毎にアンラーニングをしていたのではないだろうか。
 
つまり、このエピソードから言えることは、アンラーニングを意識することではないだろうか。
これはいつものパターンに流されていやしないか?
自問自答しながら、取り組んでいくことが大切だと感じた。