Nursing&Education&Technology

看護とインストラクショナル・デザインを中心に、備忘録として残すブログです

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看護師が医療・看護・教育工学について語ります。

転職から考えるキャリア

今日の本はこちら。

 

著者は人材育成や組織開発を専門とする立教大学の中原先生。
別に今すぐ転職しようということを考えているわけではないのだが、これからのキャリアについて考えるヒントになりそうだと感じて購入した。

1億総転職時代

帯にあるように、1億総転職時代というキーワードを聞くようになった。
僕も転職を一度経験した。

本書の調べだと、意外にも人材の流動化を示すデータは横ばい。
しかし転職を考えている人は増加傾向だという。

つまり、「転職が当たり前」という時代の風潮があるが、実際に行動できている人はそれほどでもないということを示している。

確かに転職というのは大きなエネルギーを要するし、もしかしたら自分には合わない環境だったなんてこともある。

マッチング思考からラーニング思考へ

中原先生が提唱しているのは、マッチング思考ではなくラーニング思考でいこうぜ、ということ。

本書でいうマッチング思考とは、僕なりの解釈だと自分の条件と先方の条件をいかに合わせるか、というもの。

転職というと、自分のこれまでの経験やスキルを棚卸しし、それらとマッチしそうな企業を探す、というイメージを持っており、マッチング志向に特別違和感ももたなかっt。

対してラーニング思考とは、転職して環境が変化するプロセスにおいて、アンラーニング(学習棄却)しながら自身を再構築していくスタンス、と解釈した。

転職とはリフレクションである

転職とはいわばリフレクションのようなものであると本書は述べている。

自分の自己認識と他者の視点のズレを認識し、補正していくことをセルフアウェイアネス行動というらしい。

長らく働いている環境では、意識的であれ、無意識的であれ、その環境に合うように自分が変化しているはずだ。

よく「環境が人をつくる」という言葉があるが、まさにその通りだろう。

転職して環境が変われば、良い・悪いにかかわらず何かしらのズレが生じる。

このときに、マッチング思考でいると、そのズレに対して「合う・合わない」で判断してしまい、リフレクションに至らないだろう。

対してラーニング思考の人は、環境の変化に対してUnlearnし、環境の変化に対してリフレクションし、謙虚に学んでいこうとする。

「前の職場では〜」「今までは〜」という過去の自分は一旦脇に置いておき、新しい自分をつくっていくという覚悟が、ラーニング思考には求められるのかもしれない。

未来志向で他者志向

人間関係を原因とした転職は、転職先の満足度も低い傾向にあるらしい(その人間関係のレベルにもよるかもしれないが)。

本書の中で、ゴーギャンの作品が紹介されていた。

我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか

キャリアを考えるとは、すなわちこれらの問いに対して考えることなのかもしれない。

自分が過去にどんな成果やスキルがあるのかももちろん大切。

しかし最終的には、生きてきた軌跡を踏まえ、これから自分はどんな未来を歩み、どのように貢献していきたいのか。

浅くわかりやすい視点でなく、広く、前を向いた視点で考えていきたいと思った。