今回読んだ本がこちら。
あるWeb記事で尊敬する人が紹介されており、そちらの書評を読んで購入を決めた。
権力というと、ゴリゴリなイメージで「権力を得るためには?」といった視点から書かれている本が多いイメージだ。
案の定、著者も始めはそのように「権力」に対してあまりスマートなイメージは持っていなかったようだ。
権力を持ち始めた途端、セクハラ・パワワラなどに走り、最終的には不祥事を起こして退職
そんなニュースを眺める度に「これだから権力者は・・・」と幻滅する。
筆者も漏れなくそんなイメージをもっていた。
ところが、権力について研究を続けていくうちに、必ずしもそんな人ばかりでないことがわかってきた。
そんな筆者の研究成果をまとめたのが、この本というわけだ。
権力は文脈に依存する
著者曰く、権力は個人に付随する「パワー」「資質」といったことではなく、その人を取り巻く文脈に依存する。
例えば、大学教授は権力がいかにもありそうであるが、それは「その人が大学教授という肩書きを持ち、ジャケットに細身のパンツを合わせ、メガネをかけ、論文を紹介し、教壇で授業をする」といった文脈の中で生きているから、権力を持っている。
だから大学教授という肩書きがなくなり、その辺の公園でスマホゲームに興じていたら、権力は失われる。
これはある意味、当たり前なことを述べている。
「そりゃそうだろ」となる。
それなのに、「力をもった」と勘違いをする人が多いのも事実。
権力は文脈に依存するものであると考えると、自然と少し謙虚になれないだろうか。
権力は演じることでパワフルになる
著者がまだ教員になったばかりの頃、演技に関する研修を受けたそうだ。
そこで言われたのが、自分の役割を効果的に伝える(非言語的な意味で)には、演技が大切であるとのこと。
スーツを着たり、女性であればヒールのある靴を履き、「カツカツ」と音を鳴らすことも有効らしい。
小物も効果的なようで、例えば高級万年筆などには、そういった効果があるのかもしれない。
場所も権力を与える効果があるようだ。
また物などのハード面だけでなく、「自信なさげ」や「小さな声」なども権力に影響してくる。
自分の服装や振る舞いはどうだろうか。
あらためて見直したいと思う。
権力はツールである
ここが一番大切かもしれない。
権力はそれ自体が目的なのではなく、社会にとって有益な目的を達成するために、つまり向社会的に用いられるべきものである。
利他思考があって、はじめて権力は建設的な力を発揮することができる。
クライエント・部下・学生・息子など、文脈に応じて大なり小なり権力が生じる。
その権力を自身の力と過信せず、周囲の人とより良くなっていくためのツールとして活用したいものだ、