楠木先生の最新刊。
やはりイイ。
地に足がついていて、生き急いでいた自分を内省させてくれる。
いつの時代も激動機
コロナウイルスの感染拡大問題もあり、時代は大きく変化した。
というのはよくあるフレーズであるが、遅かれ早かれこのような変化はしただろう。
コロナウイルスによって、そのスピードは幾分早かったとは思われるが。
マスメディアは、大衆をターゲットにするため、トピックの切り取り方も大きくなる。
またセンセーショナルな見出し(楠木先生流に表現すると「飛び道具」)の方が、人々の注意を惹きつける。
それが、ふわっとした実体のない「時代の潮流」という流れがあるかのように錯覚させる。
本著では新聞や雑誌を寝かせて読むことを推奨している。
要は、ファストメディアとして読むのでなく、パストメディアとして読もうぜ、ということだ。
すると、いかに生き急いでいたか、現実が見えていなかったのか、が嫌でも見えてくる。
現代はスマホの登場で、より情報にアクセスしやすくなったのは事実。
近視眼的な思考にならないよう注意したい。
文脈が大切
どんなに最新で便利なツールであっても、自分の置かれている文脈から外れていては「無用の長物」になりかねない。
これは手段の目的化に近い話かもしれない。
このアプリはすごい!
このガジェットはすごい!
と至る所で発信されている。
これらは確かに便利かもしれないが、切実に必要なものなのか。
なくても、全く困らないものではないだろうか?
仕事であれば、何かしら目的があり、それが成果となって現れなくてはいけない。
便利なツールは、その成果に結びつくのか。
そこを冷静、いや、冷徹に見極めなければならない。
自分はどうだろう
振り返って自分はどうか。
この「同時性の罠」にかかりやすい人の特徴として
・感度が高い
・せっかち
などが挙げられていた。
残念ながら、どうやら自分にも当てはまりそうだ。
ただ幸いにも読書は好きだから、こういった本にも出会える。
経営学分野ではあるが、教育にも同じことが言える。
ICT教育・アクティブラーニング・PBLなど、教育にも潮流らしきものはある。
ただ最も考えなければいけないのは、「何を目標として学習者に学んでほしいのか」である。
その結果、ICTが効果的であることもあれば、そうでないこともある。
最新の情報も大切だが、目の前の学生の反応をよく観察し、その文脈に合わせてどういった授業が効果的なのかを考えていくことが大切だ。
当たり前すぎる結論に至った。
個人レベルでも言える。
「これからは統計だ」「いやいやプログラミングでしょ」「スキルよりアートだよ」といった言葉がビジネス書界隈では飛び交っている。
もちろんこれらは大切かもしれないが、自分はどんな風に生きていきたいのか、キャリアを重ねていきたいのか(コンセプト)。
自分の関心領域はどこにあるのか。
どのようにして成果、端的にいえば、社会に貢献していきたいのか。
地に足をつけて、そしてこれからも本を読み続けていきたい。