Nursing&Education&Technology

看護とインストラクショナル・デザインを中心に、備忘録として残すブログです

Nursing & Education & Technology

看護師が医療・看護・教育工学について語ります。

相手に伝わるフィードバックを求めて

教育現場にいるとフィードバックという言葉をよく使う。
この言葉はよく使われる割に、おそらく各自で実践方法は少しずつ異なる。
そしてフィードバックとはなんなのか、突き詰めて考えたことって意外となかったりする。

フィードバックは難しい。
自分なりには言葉を選ぶようにしているし、伝えるべきことはしっかり伝えたいと思っている。
それでも、自信を持って伝えるべきことを、相手に伝えられているか?と尋ねられれば、そんな自信はない。
ということで、フィードバックについて学びたい欲が出てきたので、この本をポチってみた。

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フィードバックの重要性

これからの教育において、フィードバックは重要な時代になるのだと考えている。
これからの教育の流れは個別最適化だ。
ICTをフル活用されていけば、従来の教室での一斉講義は減っていくだろう。
講義がゼロになることはないだろうが、講義は動画教材として配信するという形の割合は増えていくだろう。
じゃあ講義をしなくなった教員は、もういらないのか?
というと、そういう話ではない。

小・中・高・大・社会人によって事情が異なるだろうが、教育者には学習のマネージメントが求められるようになるのではないだろうか。
そこで重要になってくるのがフィードバックである。
個別最適化な学習は、学習者の自律性が求められる。
だからこそ、客観的に適切なフィードバックを受けることで、学習者は現状を把握したり、モチベーションを高めることで、安心して学習を継続できるはずである。
また医療領域は技術の学習も重要であるため、自分では気づかない視点をフィードバックを得ることで気づくこともあるだろう。

フィードバックとは何か?

本書を読んで印象に残った箇所をいくつかピックアップする。
そもそもフィードバックとは何か。
筆者は以下のように述べている。

ではフィードバックとは、いったい何なのか? 一言で何かと言うと、「特定のプロセスや行動による結果に対して、向上を目的とした情報の伝達」 です。

リーダーのためのフィードバックスキル. p169

ここのポイントは、未来に向かっているということである。
フィードバックというと、評価というイメージを思い浮かべる人もいるだろう。
評価は過去の行動を振り返りる、ということである。
もちろんそれも大切であるが、最終的にはよりよくあるために、行動変容をしていくことが目的である必要がある。
自分が行っているフィードバックは、未来へ向かっているだろうか?

フィードバックのフレームワーク

筆者はフィードバックする際のフレーム「フィードバックループ」を以下のようにまとめている。

1.観察する
2.相手の話を聴く(アクティブリスニング) 
3.自分の感情を伝える(エモーショナルインパクト)
4.行動を促す(アクション)

リーダーのためのフィードバックスキル. p.257

1. 観察

フィードバックするためには、まず「観察すること」である。
よく観てもいないのに、フィードバックすることはできない。
何が起きているのか、何を振り返るべきなのか、観察したことを言語化する力が大切である。

2.相手の話を聴く

行動の裏には、必ずその人なりの思考や判断がある。
「今のは〇〇のように見えたけど、何を考えながら行ったの?」というように、相手に問いかけ、語ってもらうことでそれを確認する。
一方的に進めるのではなく、同じ立ち位置でコミュニケーションをしていくことが大切だ。
一方的に上から目線で言われても、相手は当然受け入れないだろう。
そもそも、フィードバックの内容が検討違いということもある。
相手が語っている時は、自分の意見は一旦横に置いておこう。

3.自分の感情を伝える

これは少々意外だった。
フィードバックは具体的で明確であることが大切で、感情は排除するという認識だった。
しかし筆者は、感情を伝えることも大切だと述べていた。
詳細は本書を読んでほしいが、僕は読んで納得するところが多々あった。
論理的に伝えるべきことを伝えても、本当に届いているのか?という反応をされることがある。
人間は感情の生き物である。
伝えている人の感情が入ることで、はじめて響くのかもしれない。

4.行動を促す(アクション)

どんなに自分が良いことを言ったとしても、相手の行動変容がなければ自己満で終わってしまう。
行動変容を促すためには、抽象→具体レベルにまで落とし込み、これでもかと物事を詳細に言語化していくことが必要だ。
「意識していく」「これからはもっと頑張る」は120%翌日には忘れられているだろう。

個人的には、こちらが伝えたいことは書面に残すことも必要と考えている。
人間は忘れる生き物だ。
何かの形で残してあげることで、フィードバックした時のやり取りを、自分で振り返ってくれることもある・・・かもしれない。

まとめ

言葉をよくよく選び、そして濁さず薄めず明確に、解釈の余地を与えない具体的なメッセージでなくてはなりません。相手に伝えて、確実に相手の行動に変化が現れることがフィードバックの目的だからです。

リーダーのためのフィードバックスキル. p.72

「濁さず、薄めず明確に」・・・本当にその通り。
僕はよく薄めてしまうんだよな。
言葉をよく選んだ上で、相手にまっすぐ届くようなフィードバックをしてあげたいと思う。

この本を読んだ上で、自分のアクションプランを立ててみた。
・意識して物事を観察する
・観察したことを言語化して記録に残す
・伝える相手に対する敬意を忘れず、その上で自身の感情を建設的に伝える
・ポジティブ・ネガティブな内容に関わらず、具体的に伝える

 

最後までお読みいただきありがとうございました!