ミルの自由論を読んだ。
この本はunlimited対象なので、会員であれば無料で読むことができる。
素晴らしい時代だ。
結構前にも読もうとたが、途中で挫折してしまった記憶がある。
ただ何かしら引っかかるものはあり、どこか再読したいという想いがあった。
あらためて読んでみると、これがまた面白い。
本書のタイトルの通り、「自由とは何か」という極めて抽象度の高いテーマを扱っている。
テーマだけ聞くと、なんだかアカデミックな印象を受ける。
しかし僕はこの本はミル先生(敬意を込めてミル先生と呼ばせていただく)の「危機感」から熱いメッセージだと感じている。
ミル先生は自由とは何かを論じつつ、ひとりひとりの「個性」が発展していくことが、社会の豊かさをつくり、ひいては幸福になるのだ、という強いメッセージを送っている。
現代社会は没個性化が進んでおり、人間が機械のようになってしまっている。
それではいけない。
人間はもともと、自分のなかにある個性を伸ばしたい力があるのだと。
では好き放題やっていいのか、というとそういうことが言いたいのではない。
だからこそ、「自由とは何か」ということを論述しているのだ。
この本は古典に分類されるので、当時と今では大きく社会が変化しているが、これは現代社会にも十分言えることだ。
著名人が何かをしでかすと、マスコミからは格好の餌食とされる。
著名人でなくても、周囲と異なるとデメリットを被ることが多い。
そんな環境で生活していると、いつしか個性という角がとれ、まーるくなっていく。
どうにかしていかなければいけない。
そのためにやることは、自分の内側にある「欲求」「エネルギー」を、社会的な文脈のなかで意味づけていくことだと考えている。
そこを起点とした個性であれば、きっと誰かと繋がっていける。
そんなことを考えさせられる一冊だった。