Nursing&Education&Technology

看護とインストラクショナル・デザインを中心に、備忘録として残すブログです

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看護師が医療・看護・教育工学について語ります。

高橋祥子著 生命科学的思考

 

 

 

生命の原理・原則とはなにか。
そこに立ち返りながら、私たちはどのように生きていけばよいのか。
思考のパラダイムシフトを促す本である。

この本は決して原理原則のまま生きていこうと薦めているわけではなく、その上で私たち人間はどのように生きていけるのかを考えていこうと主張している。
原理・原則を知ることは、むしろ自分の生き方を自由にしてくれる。

時間とは何か?
一見、哲学をイメージさせる問いだが、生命科学の視点に立つと、ちがった解釈ができる。
「なぜ楽しい時間はあっという間なのか?」
時間は4つの軸で考える必要があると述べている。

1. 自然変化
2. 環境変化
3. 行動変化
4. 生命変化

詳細はぜひ本書を読んでほしいが、充実した時間を過ごしてるときは、自然変化に対して行動変化が相対的に大きい。
対してスマホでダラダラと怠惰な時間を過ごすのは、自然変化に対して行動変化が小さい。
当たり前ではるが、時間は個人によって異なるため、自分のなかで比較していくことが大切だ。
自分の人生を豊かにするには、生命変化に対してどれだけ行動変化を起こすことができるか。
それが充実した人生を過ごす、ということに繋がるのかもしれない。
スマホでダラダラとSNSをチェックしても、充実した人生には繋がらない。

次に幸福と快楽のちがいについて。
幸福と快楽は時間軸が異なる。
快楽は一瞬で刹那的なものだ。
対して幸福は長期的なものである。
快楽を得られたからといっても、幸福が得られるわけではない。
逆に快楽が得られなくとも、幸福にはなれる。

これは日々の意思決定につながる話でもある。
自分が行おうとしていることは、幸福に寄与するのか・しないのか。
さきほどの時間軸で考えると、快楽は生命変化で、幸福は行動変化に作用するといえる。
人生の意思決定を行う際は、行動変化を生み出しているか、を基準にすることが重要である。

最後に情熱について。
情熱を持つには、現在と未来の差分が大切だと筆者は述べている。
自分の現在地を認識し、行動変化を起こし続けた未来とそうでない未来(=現在と未来の差分)を、どれだけ自分のなかに描けるか。
また行動変化を起こすためのもうひとつの原動力として、「初速」を挙げている。
初速は「勢い」ともいえるかもしれない。

ちなみに僕は、YouTubeでモチベーションが上がる動画を観て、初速を高めるようにしている。
その動画を観ると、スイッチが切り替わるような感覚がある。

原理・原則に則っているからか、読んでいて腹落ちすることが多かった。
行動変化を最大化していくことを、毎日の小さな意思決定の基準に生きていきたい。