Nursing&Education&Technology

看護とインストラクショナル・デザインを中心に、備忘録として残すブログです

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看護師が医療・看護・教育工学について語ります。

臨床判断ティーチングメソッド

久しぶりに「読書会」へ参加した。
主役はこちら。

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黄色い表紙がビビッドで、思わず手にとってしまう。
「インスタ栄え」を意識したデザインなのかもしれない。

この本の存在は、週刊医学界新聞やツイッター経由で知った。

コロナ禍ということもあり、どの施設も実習が制限されている。
限られた時間で、どうすれば効果的に実習指導ができるのか。
最近ずっと頭を悩ませていた。

この本のコアコンセプトである「臨床判断モデル」から、実習指導のヒントが大いに得られそうな予感がしたので購入した。
そしたらなんと読書会のお誘いもあり、こちらも参加してみることにした。

印象に残ったところを、いくつか書いてみたい。

どこに向かって問いかけるか

臨床判断は4つのフェーズから成り立っている。
僕が大切だと思ったのは、どこに向かって問いかけるかである。
「思考発話」という概念が紹介されていたが、多くの教育者は勤務終了後や看護の実施後にリフレクションという形で学生に色々と質問するだろう。

・あの時はどう考えたのか?
・なぜそうするのか?

これまでの僕は、このような問いかけをすることが多かった。
しかしこの本を読み、未来に向かって問いかける重要性に気づいた。
そもそも「なぜリフレクションをするのか?」と言ったら、より良い看護をするためである。
であれば、学んだことを未来に活かせるような形で、学習者の中に残すことが大切であるはずだ。
もちろん行為自体を「振り返る」形で問いかけることも大切だけど、そこから未来にどう活かしていくか、という視点も忘れずに学生とコミュニケーションをとっていきたい。

アセスメントができません

学生はよく「アセスメントができません」ということを嘆いている。
アセスメントは「分析」という意味になるが、分析するためにはまず情報、つまり「気づき」が大切になってくる。
臨床判断モデルに沿って考えると「気づき」フェーズと、「解釈する」フェーズに相当するわけだ。
つまり「アセスメントができない」のは「気づき」が足りないのか、それとも「解釈」ができないのか、のどちらかになる。
臨床判断モデルを活用することで、学生の学習可能内容をより明確にできるのではないかとも感じた。

正解?不正解?

思考発話で「正解を伝えてしまうことにはならないか?」ということが話題に挙がった(挙げたのは自分だが・・・)。
でも皆さんの意見を聴きながら思ったのは、そもそも正解・不正解を判断するために思考発話をするわけではないんだということだ。

学生は自分の行った看護を「なんとなく」やっている場合も多い。
でも実は、学生が実践したことに大切な意味があったりする。

思考発話は、学生が自分でそこに気づけるようにすること。
そして実践したことで起こった現象に宿った意味を、「言葉」で学生のなかに残すこと。
学生になかに残った学びから、これからの看護にどのように活かしていくか考えること。
大切なのはこのようなことではないか。

もちろん、正解がある場面もあるだろう。
それでも、思考発話は決して正解・不正解を判断するためでも、正解を伝えることでもないんだ、ということを肝に免じておきたい。

読書会の感想

率直に言って、もっと時間がほしかった(良い意味で)。
皆さんと語り合いたいことが本当はもっとあったのだが、止らなくなりそうなので自制するのが大変だった。
異なる立場の人たちが、共通のテーマで、同じ本を読んで語り合う時間は、とても充実していた。
1人で読むより、何倍も学びが得られたと実感している。
運営メンバー・参加された皆様に感謝したい。

まとめ

この本は内容が非常に濃いため、一度読んで終わることはできない。
読んだことを実践し、またこの本を読んで実践していくことで、本当の意味で価値のある本だと思う。
まずは1つでも良いから、実践していきたい。
アクションプランを立てるとしたら

・未来の看護に繋がる問いかけ
・良かった場面も取り上げる
・教育者がリフレクションをするに値する場面に気づく
・場面からテーマを見出して、学生と語り合う

この辺りだろうか。
来年の実習が無事にできることを願い、学んだことを実践していきたい。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました!