今日は少し趣向を変えて、医療安全の話。
昨今はプログラミングが話題となっている。
プログラミングは、入力したコードが正しければ、決してエラーすることなく動かせる。
対して人間はどうだろう?
どんなに優秀な人であっても、ミスをしたことがないという人はいないだろう。
人間は残念ながらエラーをする。
人にまつわるエラーを「ヒューマンエラー」という。
今日はヒューマンエラーについて書きたい。
ヒューマンエラーとは何か?
ヒューマンエラーは以下のように定義されている。
“意図しない結果を生じる人間の行為”
JIS Z8115:2000
ざっくり言うと、思ってもみなかったミスといったところだろうか。
例えば、居酒屋の店員でビールの注文を受けたとする。
ビールを注いでお客さんに提供したら、「これ、ジンジャエールですよ」と指摘を受けた。
ビールと思って運んだにも関わらず、ジンジャエールだった。
皆さんが店長だったら、この店員さんにどのように関わるだろうか?
ヒューマンエラーに関わる3つのモデル
ヒューマンエラーについて考える上で、重要なモデルが3つある。
1つ目がレヴィンの行動モデル。
レヴィンは人の行動を以下の公式で表現した。
B = f(P,E)
これらが何を意味しているのかというと、
Behavior 行動
function 関数
Person 人
Environment 環境
つまり、人の行動はその人の特性(Person)と、その人が置かれている環境(Environment)に左右されるということである。
2つ目がコフカの判断モデル。
コフカの判断モデルでよく例に挙げられるのが、旅人が雪道を歩く話である。
ある旅人が雪道を歩いていた。
すると先の方に家が見えたため、旅人は少し休ませてもらおうと尋ねた。
住人は旅人の話を聞き、とても驚いたという。
それはなぜか?
旅人が歩いてきた道は、凍った池の上だったのである。
その事実を旅人も知っていたら、決してそのルートは通らなかっただろう。
知らなかったため、その道を歩いたにすぎない。
このことから言えるのは、「人は自分が見えるようにしか見えない」ということだ。
それをマッピングという。
エラーの原因でよく挙がる一つに「思い違い」というのがある。
確かにそうなのだが、それはエラーが明らかになった時点で分かったことであり、それまでは本人からすると合理的な判断をしているわけだ。
3つ目が意思決定の天秤モデル。
私たちは、常に何らかの意思決定をしながら生きている。
その際、どのように意思決定をしているのかというと、複数の選択肢を天秤にかけ、メリット・デメリットを比較している。
私たちは就職したら、多くの人は平日は出勤する、休もうと思えば休むことはできる。
ではなぜ出勤するのか。
それは「仕事が楽しいから」「給料がもらえるから」「気まずい思いをしたくないから」など色々とあるだろう。
ただ一つ言えるのは、休むことより出勤した方がメリットが大きいと感じているということだ。
まとめ
ざっとではあるが、ヒューマネラーとそれに関わる3つのモデルについて述べてきた。
これらのモデルから言えることは、エラーは原因ではなく結果であるということ。
エラーした張本人を責めても何も変わらない。
大切なことは、人はエラーをする存在であるという前提に立ち、じゃあどうすればエラーを繰り返さないようにできるのかと考えることだ。
感情的にならず、理性的に解決を試みる。
そのような人でありたいし、皆がそのようなマインドでいることで働きやすい職場となっていくのかなと思った。