Nursing&Education&Technology

看護とインストラクショナル・デザインを中心に、備忘録として残すブログです

Nursing & Education & Technology

看護師が医療・看護・教育工学について語ります。

エンド・オブ・ライフ

最近は教育やビジネス系の本が多かったので、久しぶりに物語りのある本を読みたくなった(そうゆう時、ありますよね)。

本屋をぐるぐるとまわっていて、目に留まったのがこの本。

タイトルからして、闘病期のようなお話なのかな、と思い手に取った。

 


パラパラと読んでいると、在宅医療で看取りに関わっていた看護師が出会った人々と、その看護師自身の最期の日々を描いたドキュメンタリーのようだ。

この本を読み終えた感想
看護師として、というよりは、「1人の人間として」学ぶことが多い本であった。
本書の中で、何人かの「エンド・オブ・ライフ」が書かれていた。
本人の中ではもちろん色々な苦痛や葛藤があるのだろうが、最後まで「自分らしく」暮らそうとされていた。
病院では、いくら患者さん中心とはいっても、やはりルールがあり、医療者主導にならざるを得ない部分があるのが現実だ。
しかし在宅、つまり自宅だからこそ、「その人のルール」のなかで生活することができる。
その事実が、どれだけその人のQOLに影響を与えるのか。
それを垣間見たような気がした。

印象に残っているのは「人は生きてきたように死んでいく」という言葉。
僕も死を意識することはある。
自分なりには、時間を意識して、大切に過ごしている自覚はある。
それでもこの言葉を目にして、ハッとさせられた。
本で取り上げられていた方々は、何も人生が残り僅かということがわかったから、素晴らしい時間を過ごせたわけではない。

それ以前から、大切にすべき人たちを大切にし、やるべきことをやってきたはずだ。
その延長線上に、「エンド・オブ・ライフ」があるのである。
僕は本に出てきた人たちのように、毎日を過ごせているのだろうか。

最後に、最も印象に残った筆者の言葉を引用しておく。

気を抜いている場合ではない。貪欲にしたいことをしなければ。迷いながらでも、自分の足の向く方へと一歩を踏み出さねば。大切な人を大切に扱い、他人の大きな声で自分の内なる声がかき消されそうな時は、立ち止まって耳を澄まさなければ。そうやって最後の瞬間まで、誠実に生きていこうとすること。それが終末期を過ごす人たちが教えてくれた理想の「生き方」だ。、少なくとも私は彼らから「生」について学んだ。

「エンド・オブ・ライフ」より引用

本書を全て読んだ後は、より一層この言葉が響くだろう。
大切なことを、ちゃんと大切にできているのだろうかと考える機会をくれた本だった。