Nursing&Education&Technology

看護とインストラクショナル・デザインを中心に、備忘録として残すブログです

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看護師が医療・看護・教育工学について語ります。

【読書】近内悠太:世界は贈与でできている

名前の知らないヒーローが、本人も気づかぬうちに、社会の均衡を保ってくれている。

 

どんな本か

山口周さんの著作「ビジネスの未来」を読み、この言葉の重要性を知ったのが本書を手にとったキッカケだ。
僕は「贈与」という言葉から、「相続」や「契約」を連想した。
実際にググってみると、相続や税理関連のサイトが検索上位に上がってくる。
しかし本書はそういった類の本ではない。
この本は「社会がどのように成り立っているのか」という、深淵なテーマについて書かれている。

といっても、難しい用語がズラズラ並んでいるわけでなく、遠い世界の話でもなく、私たちの社会に対するコミットメントの在りかたを考えるキッカケをくれるだろう。

アンサングヒーロー

世界は名も無きヒーローたちのおかげで成り立っている。
彼ら・彼女らをアンサング・ヒーローという。

患者さんが過ごしやすく、医療職者が働きやすいのは清掃スタッフのおかげだ。
シーツがいつも綺麗なのは、ケアワーカーさんが綺麗に変えてくれているからだ。

そのような人たちが、表立って感謝されることは少ないかもしれない。
でもそういった人たちがいるからこそ、医療は成り立っているのだということを忘れてはならない。

それは病院だけでなく、この社会全体がそのように成り立っている。
アンサング・ヒーローの成果は「いつもの日常」という形で表現される。
それゆえ、当たり前のことなのだと勘違いしてしまう。

感謝の気持ちを忘れない

贈与という概念は、当たり前のことに対する感謝の念を思い出させてくれる。
僕たちは、知らないうちに誰かからの「贈与」をもらって生きている。
例え、その恩恵を受けていることに自覚がなくてもだ。
だから決して偉ぶったり、奢った態度をしてはいけないのだ。

謙虚に、感謝の念を忘れずに過ごしていきたい。