今回読んだ本はこちら。
どんな本?
ひょんなことからこの本を知ったのだが、これが滅法面白い。
日本3大随筆に数えられ、冒頭の一文は有名…らしい(僕は知らなかった)。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
本書より引用
この場面が書かれている情景を想像してみてほしい。
「確かにな〜」と思うだろう。
そして僕はこう思った。
当たり前の場面を切り取って、こんなにも美しく表現できる鴨長明さんの感性が羨ましすぎる。
河の流れを眺めて、なんていうか人生に底通する「儚さ」を表現できるって…
さすが日本3大随筆の1人として数えられるだけのことはある(誰目線)。
随筆とは、語弊を恐れずに言えば「日記」のようなものだ。
事実は小説よりも〜なんて言葉があるように、平安時代の日記(しかも名文と言われる)を面白く読ませてもらった。
当時の様子
本書を読む限り、台風や地震・感染症など、当時はさまざまな天災が起こり、被害も尋常ではなかったようだ。
そんな様子を目の当たりし、どんなにお金があろうが、どんな豪華な家だろうが、いずれは無となる。
おそらく世の儚さを身をもって感じていたのだろう。
ミニマリスト
そんな背景もあってか、鴨長明さんは現代でいうミニマリスト的なライフスタイルを過ごしていたことが綴られている。
タイトルがそれを象徴している。
「方丈記」とは4畳半という意味であり、なんと4畳半一間で、かつ造りも極々簡素で、すぐに移動できるようになっていたらしい(イメージとしては、テントみたいな感じか)。
住居だけでなく、その生活もシンプルの極みだ。
草実を食し、琴や唄を嗜む。
天気の良い日には散歩し、静かな夜は亡くなった友を思い出しながら、ときに涙する。
鴨長明さんは何も「ミニマリスト最高!みんなもなれよ!」と言っているわけではない。
自然と色々と体験する過程を経て、このようなライフスタイルにたどり着いたのだろう。
ミニマリストでなくなくとも、ぜひ一度は読んでほしい。